鏡の中
自分の容姿は気にならなかった。
髪も髭もどうぞお好きに。
だから彼は鏡など不必要だと思っていたんだ。
本当の自分をうつす鏡が嫌いだった。
この顔がなければ、もっと純粋な恋愛ができていたかもしれない…といつしか自分の顔に嫌気までさすようになった。
真の姿を知るやつは一握り。
母、父、
そして小中一緒だった友達のしゅうちゃん。
たった3人だけだった。
みんなみんな藤本志はださくて、恋愛経験ゼロの高校3年生だと勝手に決め付けた。