鏡の中
「ねえゆっきー」
そしてすぐ切なそうな顔をして志を呼ぶ。
くすぐったそうな顔をして、志が微笑んでくれるのをそうして待つんだ。
すごく難しい顔をしていた志も、口元がほころぶ。
「ちょっと出かけるか」
ゆっくりうなずいて、那は支度をはじめた。
もう時計は22時をまわっている。
那が支度をしている間、また思慮に励む志を現実に引き戻す、凛とした声。
「話をするなら、私いいとこ知ってるよ」
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