鏡の中



うなずきそっと話し出す。

着く前に少しでもその話題に触れていたかった。



「俺、今20歳だろう?」

何言ってるの?って顔をするのかと思っていたら、那は何かすごく気まずそうな顔をした。


返事がないから、志は続けた。


「那は今20歳で、学年は2年生…俺の一個下。俺たちの記念日は1月23日。高校にたまたま用があった俺と3階のトイレ前でぶつかったのがきっかけ。そん時俺はまだ大学2年生だったよな。それから俺が通ってる大学は………」



志は淡々と続けた。


那がとめないから、思いついたことをどんどん口にした。



何も喋らない那はいきなり立ち止まった。

つられて志も立ち止まった。




「ねえ、志。座って話そうか。」




そういって志があたりを見回すと、そこにはどこか懐かしい公園があった。


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