鏡の中
志はベンチに積もった砂を払って、那に目配せをした。
そして、那が座ったのを見て自分も腰を下ろした。
「現状や、私たちの過去を話して、結果的には何が言いたいの?イギリス人みたいに遠まわしに言われたって、私はわからないでしょう。」
そう言ってふふっと彼女は微笑んだ。
だから、志はストレートに告げた。
「俺さ18から19の記憶がねーみてーだ。」
どこかで誰かが笑ってる気がした。
そんな志の不安は、ぐるぐると志の心をかき乱す。