鏡の中
…確かにその時、俺は今が大切だと強く思ったんだ。
中学のときに人の温もりを勘違いした、あの夜。
きっとそれからの自分は、荒れていったんだろうと予想ができた。
大切だった人がもし仮にいたとしても、今、那がそばにいればいいと思ったんだ。
確実に俺の中で那は大きくなっていた。
無言で差し出した手を、また無言で握り返してくる小さな手。
俺の日常に欠かせないもののひとつとして、彼女がいた。
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