鏡の中
どんっと背中を思いっきり押されてこけそうになった志。
「ちょっとは冷ややかな態度、できないかな?」
そういって、くっくっと肩をすくめて笑ったのは、志の幼馴染の修衣(しゅうい)。
天然パーマの頭をそっと触って、ついでに乱れた前髪を直す。
走ってきたのだろう。
目にかかった前髪をひどくうざったそうに耳にかけた。
そしてまた修衣は志を見て笑った。
「なあ、聞こえてないのか?」
「お前のアドバイスは聞き飽きたよ、しゅうちゃん。」
「おいおい。聞き飽きたならそろそろ取り入れてくれてもいいじゃねえか。ゆうは一度も俺のアドバイスを取り入れてくれねーからな。」
はははっと志は笑った。