鏡の中
私には、志に言えない秘密がある。
自分の感情を優先して、彼の気持ちを無視したの。
こうしてしまったら彼が傷つくことはわかってた。
でもね…悪魔のようなあの男の囁きに、私は勝てなかった。
志がいなくなったら私はすぐに考える。
いつ…
いつ…
時がやってくるのだろうと。
あの男が迎えに来る時はすぐにやってきてしまうはず。
私が、私が…万が一口を滑らせたりしたら、きっと私は志を傷つけるだけでは終わらないはず。
口が裂けても言えない秘密。
でもこの秘密は、一人で抱えていくには難しすぎるの。
志の笑顔がたまらなくさせるの。
言いたくなる。
あなたが昨日、未来であろうこの世界に来たとき私はそれを知っていたし、私の顔を見て名前や私についてのいろんなこと、そして未来の現状を思い出していくことも…本当はわかりきっていたの。
だって私は、待っていたから。