鏡の中
現在だった過去
北本那。
ある県立の高校に通う普通の高校生。
高校2年の春。
図書室の雰囲気が好きだった那は、勇気を出して図書室へ初めて足を踏み入れた。
1年生のときは、図書室に行く余裕なんてなかった。
勉強、友達、部活、バイト…恋愛。
しかし、学年が変わった今、那はもう自由だった。
めんどくさい友達関係に、区切りがついた。
大切な友達だけが那のそばにいてくれる。
僻みや、恨み。
まとわりつく視線。
そんなしがらみを全部捨てた。
…そんなある春の日だった。