鏡の中



志だって一応プライドはある。

だからまず、トイレに入り更に個室に入るんだ。


集めた回収物は落ちないようにそおっと置いてから、ササッっと前髪をアップにし、かわいいピンでとめる。


それからズボンをちょうどよく下ろし、夏指定の青いワイシャツを程よくしまう。



一呼吸おいて、個室から出て職員室に向かう。




「先生、もってきましたよ。」

「ん?」



…志に頼んだはずの回収物は見知らぬ誰かが持っている。


でもこれも何度目となっただろうか。


馬鹿な松本を含め、他の教師も気づいていない。



「お…おう。悪いな、いつも藤本に頼んでるんだけどな。」


あいつ何してんだよ、と松本はぶつぶつつぶやいた。





それを志は聞き逃さない。



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