鏡の中
「えっと…私よりもふさわしい人がいるんじゃないかな?」
「言い出して悪いんだけど、俺北本さんじゃねーとこれ受けないから。」
クラスがどよめく。
それもそのはずだ。
これじゃあ、公衆の面前で告白されているも同然なのだから。
「申し訳ないけど、北本さん。私もそう思うし、このままだと決まりそうもないから、お願いだから受けてもらえないかしら?」
飯塚さんは、本当に申し訳なさそうに、垢抜けた色の髪の毛を耳にかけて言った。
引きようがなかった。
「……わかりました。力不足だとは思いますが、精一杯努めます。」
拍手がおこったが、もちろん全員からおこっていたわけではなかった。
そう、前にたつ飯塚さんは拍手などしていなかった。