鏡の中
「あのさ、京平くん。私も京平くんを知らないけど、きっと京平くんも私のこと知らないんじゃないかな?」
那は階段を上っている途中、ずっと黙っていたのに、いきなり口を開いた。
「俺は、行事までにいろいろ知っていくつもりだよ。それに、今だっていろいろわかったこともあるしな。
いきなり那ちゃんって呼んで、驚いてたときの顔もかわいいし、笑顔も本当にめちゃくちゃにしてやりたいほどかわいいし…
それに、誰かを放っておけないやさしさも俺は好きなんだ。」
ぽつぽつと話す京平は、那にとてもかわいいと思わせた。
「だからさ、もっと教えてな、那!」
「えっ」
「ははっ…ほんとかわいいわ、那。」
さりげなく、嬉しい言葉をくれる京平に惹かれていっているのかな?とふと思うことが増えるようになった。