鏡の中
松本にぐっと近づき
「先生、教師としての立場をわきまえてください。彼だけに頼むのはよくないですよ。あまりそのようなことをしていたら、教頭や校長に話に行ってもいいんですからね。」
いたずらっ子のような笑みを浮かべたまま志は続ける。
「いいんですか、松本先生?」
松本は少し驚きつつも、否定せず、ゆっくりとうなずいた。
「ああ、そうだな。俺がそんなことをするのはまずいよな。以後気をつけるよ。」
誰に口聞いてるんだ、この親父。
俺だって生徒なんだから、そこまでびびらなくてもいいよなあ。
ほんと馬鹿なやつ。
と志は心の中で毒づき、にっこり笑って立ち去った。
人間どうかしてる。
なりだけで、優劣をつけ、劣ってるとみなしたやつには強く、他には弱い。
本当に人間って狂ってる。