鏡の中
さりげなく言った京平の発言は、実行委員の2人にひどくうけ、HRでは全員一致の案となった。
浴衣。
夏に着る、女を美しく見せる武器である、浴衣。
それを、学年みんなにさらすのだ。
那はそれだけのことだけど、とても恥ずかしいと思った。
自分が大きな舞台に立つのなんて、真っ平ごめんだったから。
クラスには、もちろん業者さんと繋がる人がいたから、このような案が出てしまったのだけれど、もう今更取り消そうなんてできっこなかった。
浴衣は、ショート丈を何枚にも重ねて、浴衣らしさを抜こうということになった。
着物の生地を、変えた、というだけのように見せようと言う提案。
もちろん満場一致。
那は裏で何が動いているかなんて、まったく知らなかった。
まさか、当日…。
あんなことになるなんて。