鏡の中
当日。
那には一切見せずに、Bクラスの出し物は決定された。
ショート丈の裾には、白いレースがついている。
色は日本人形を思わせる赤。
何枚にも重ねられていて、黄色やピンクといった綺麗な色がちらりと見え隠れする。
かつらなんて意見も出たけれど、那の言うことなしの黒髪で却下された。
決して長くはないけれど、ねこっけで、やわらかそうなほどよい黒髪は、漆黒ではなくあえて軽い感じがいいのだと言う、京平の一言で、みんなも黙った。
京平の衣装も、とても凝っていた。
浴衣は那の衣装のように重ねられていて、色はスポーツマンの京平に似合う明るい青。
黒や水色も入っていて、雰囲気が出ている。
京平もまた、かつらではなく、少し伸びた感じのスポーツ刈り。
そう…まだ2人は試着もしていないのに、誰もが想像を安易にすることができた。