鏡の中
「じゃあ、打ち合わせも2人でシナリオ考えてやって欲しいんだよね~。」
潤は言った。
同調するように、恭もそうそうと頷く。
「おっけー。何時に上行けばいい?」
細かいことを3人で話しているようだった。
那には…聞こえなかった。
好きな人と2人きりになることなんて、今までなかったから。
緊張のあまり、冷や汗が背中を伝う。
ひょっとしたら表情が強張っているのではないかと、頬をさすった。
―…どうしよう。うまく呼吸ができないよう。
この行事は確実に私にとって、忘れられない出来事になっていた。