鏡の中
つくられたモノ
「じゃあ、打ち合わせ…始めよっか!」
にっこりと笑うその笑顔に…嘘はないと、那は感じた。
「…うん。」
ぎこちなく返した那を、京平は食い入るように見つめた。
「似合ってる。」
京平には不釣合いな、ちょっと暗い声でそう囁かれた。
「俺、那のこと好きだから。だからできれば今日だってステージには上がって欲しくない。
でもこれは俺のわがままってわかってる。
…那の気持ちを無視することなんて、できねーよな。」
そう言ってまた京平らしい、明るい声で笑った。
那ははじかれたように、京平の近くにより、小さな声でも届くことを願って…
声を絞った。