鏡の中
いたたまれなくなった那は、潤を探した。
怖くて怖くて、何がなんだかわからなかった。
だから潤にすがりたかった。
今のは何もなかったんだって…きっと気のせいだって…そう信じたかったから。
あたふたして、ドアに手をかける。
ガラッ
開けようとしたドアがいきなり開いたので、那は声をあげた。
…そこには、潤がいた。
「じゅ…ん」
「なによー久しぶりに会ってそんな嬉しいか?」
大げさにハグをして、那が苦しいよと言うまで潤は那を放さなかった。