鏡の中
「ありがと、潤。」
「なんとなく空気はわかったから、ちょっと教室でよっか。」
那は涙をぬぐって、眉毛をさげて笑った。
先ほどあったことを話し終えると、ちょうどチャイムがなった。
「聞いてくれてありがとね。」
「聞くだけなら誰にだってできるんだけどね。ちょっと話し足りないな。」
…沈黙。
教室からは次々と生徒が出てくるのが見える。
体育館へ行って、始業式を行うのだろう。
「始業式、サボりますか!」
潤の嬉しい一言に、那は勢いよく頷き、そしてまた笑った。