鏡の中
京平もすぐそれに気づいた。
好きな人からの態度ほど、人を左右させるものはない。
好きな人の一挙一動は…人を一喜一憂させる。
ある日、那は麻子にちょっと話があるの、と言われた。
那は何かを感じ取り、麻子についていく。
階段の前で立ち止まった麻子につられて、那も足を止める。
「私ね…ずっと京平くんが好きだった。」
那が黙ったので、麻子は話を続けた。
「だから何ってわけじゃないの。でもね、私ずっと好きだったしさ…
那ちゃんと付き合ってるのも知ってる。それに京平くんが那ちゃんのことをどれだけ好きかも、見ていればわかるの。
でもね…同じクラスだからね、見てるとつらいんだ。気持ちをこのまましまっておくのが…すごくつらいの。
振られるのはわかってる。だから…告白してもいいかな?」
麻子はその場に泣き崩れた。
那も麻子のその気持ちを汲み取り、そして同じ気持ちになり、涙を流した。