晴れ、のち晴れ

名前も知らないクラスメイトに対する同情心は沸きようもなく、葵は小さく頷いておいた。

葵の様子に三宅が苦笑する。

「…冷たい奴だなぁ」

「はぁ?」

「あいつ、いつも幕間と成績競ってるじゃん。

ライバルが脱落したっていうのに、感想とかないわけ」

ライバル…。

誰が、誰をだろうか。

葵の動揺に気付いたのか、三宅が馬鹿にしたように笑った。

「そーいう奴だよな、幕間って。一人違うとこ立ってて、特別って顔してる。

羨ましいっていうか、むかつくっていうか。自分以外必要ないんじゃないの」

刺のある言い方に葵は無言で顔をしかめる。

こんな風に敵意を向けられる理由が分からなかったのだ。


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