晴れ、のち晴れ

呆然としている男子生徒を置いて葵は立ち上がる。傷は思った以上に深く、三宅のタオルが赤く染まっていった。

「待てよ、俺がタクシー拾ってくるからそこで待ってろ」

三宅が慌てて葵を引き止め、裏門から走っていった。

葵は鞄を左の脇に挟んで、のろのろと歩く。

後ろの様子をちらりと伺うと、男子生徒は先ほどと変わらない様子で立ちすくんでいた。

< 113 / 119 >

この作品をシェア

pagetop