晴れ、のち晴れ
ばちんっ。
女が顔を真っ赤にして、平手であたしの頬を打った。あたしはすかさず、鞄を掴んだまま平手した女にぶつける。
きゃあという甲高い声があがった。クラスの奴らの視線が集まっているのが分かる。
「やめろよ、松沢も、七篠も」
松沢というらしい女の思い人、笹木野があたしたちの間に入った。
「だって、この人が…」
松沢が目を潤ませる。
あたしは、叩かれたからやり返しただけだっての。
「笹木野って正義の味方みたいだなー」
あたしの言った言葉に、一瞬笹木野が照れたような顔をした。松沢がその向こうであたしを睨んでいる。
面倒くさっ。
まだ、何か話そうとしている笹木野を置いて、あたしは、教室から出ていった。