晴れ、のち晴れ

お金がないのに、お腹がすいて動けなくなりそうだった時、近くにいた男子高校生の制服を掴んだのだ。
この辺りでも評判の高い頭のいい男子校の制服だった。

何?と言って振り向いた綺麗な顔にあたしは驚いた。

知っている顔だ。

かっこいいとかイケメンなんて言葉が似合わないぐらい、綺麗な顔をあたしを上目に、じっと見る。


あたしはかわいこぶって、お腹すいたと答えた。


彼はポケットから財布を取り出して、あたしの目の前で開いた。

そこに、お札は一枚もなかった。

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