晴れ、のち晴れ

葵たちはまだ学校だろう。

学校をサボるなんて、想像出来ない。

でも、もしかして、という気持ちがなくもなかった。

高級住宅街を、中学校の制服のまま歩くというのは、妙な気分である。周りの視線が気になるというか。

家の前に付けられた監視カメラを見て、お、という気持ちになった。

こんなに監視されて、ここに住む人たちは疲れないのだろうか。

そんなものより安全の方が大事なのかもしれない。

あたしは、ろくに鍵の掛からない、住んでいるボロいアパートのことを思い出した。

たしかに、あそこには、誰かに盗られて困るようなものもなければ、監視する必要もない。

でも、その分気楽だ。

< 21 / 119 >

この作品をシェア

pagetop