晴れ、のち晴れ

目的の家の前に着く。

当たり前だが、誰かがいるような様子はなかった。

この家には幕間という表札は出ていない。聞くと防犯のために出していないんだとか。

あたしは、幕間家の前につけられた防犯カメラに向かってピースをした。

この向こうで誰か見ていたら、おもしろいのに。

誰かが怒ってくるわけでもない反応に、あたしは少しがっかりした。

大袈裟にため息をついているあたしの隣に車が止まる。

運転席の窓が開いて、男が顔を覗かせた。


「何しているんだ、ここで」

しまった、監視カメラに不審者だと思われたか。

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