晴れ、のち晴れ
男は二十代なかばで、切れ長の目を持ち、すっと鼻筋が通っていた。葵とはまた違った、人目を惹く魅力がある。
「ええと…、葵と夢香の友達なんだけど」
とりあえず、この家の者の名前を出してみる。
「…学生だよな、学校は?」
男は形のいい眉をひそめてあたしを見ている。
「今日は早く終わったんで、遊びに来たんですけどー、あなたこそ誰ですか?」
なるべく良い子ぶって答える。サボったなんて言えない場面だ。
「俺?俺は、幕間芳一」
まくまよしかず…。
どこかで聞いたことのある名だ。
しかも、つい最近。
「あ、夢香の好きな人か」
あたしの言葉に、芳一は頭を車のガラスにぶつけた。