晴れ、のち晴れ
アパートへ帰り、様子を伺うが、同居人の創(そう)はまだ帰っていないようだった。
あたしは一人、よっしゃとガッツポーズをする。
「何喜んでるんだ、梨羽」
アパートの影から、創が出て来た。携帯で誰かと話していたらしい。
「帰っていたのか…」
創は、真昼間に黒いスーツと柄シャツを着て、人からお金を貰うのが仕事だと言っていたが、詳しいことは聞いていない。
やから始まる三文字の奴らの姿が頭を過ぎるが、肯定されたら、さすがのあたしも反応に困る。
知らないですむなら知らないままでいようと思っている。
安物の鍵を開け、創と共に部屋へ戻った。
「今日は女が同伴じゃないんだな」
「ん?ああ、いるなら呼んでやろうか」
「いらん!」
創は、あたしを引き取った時、男だと思っていたらしい。確かに目つきが悪かったが…。
書類のどこを見ても、女に丸がついているのだけど。
創だから仕方ない。
例え、あたしが小学生のとき、真っ黒いランドセルを背負い、周りから浮きまくりだったとしても。