晴れ、のち晴れ
それで、今にいたる。
ここは、彼、幕間葵(まくまあおい)の家だ。葵は相当なお坊ちゃんである。
家は広く、リビングのテレビは見たことのない大きさだ。
「相変わらず、すげー」
「そんな驚くようなことか?」
葵はきょとんとしてあたしを見ている。
このおぼっちゃまめ!
あたしは内心悪態をついた。
「飲みものは麦茶でいいだろ」
「ああ、うん」
葵は氷の一杯入った麦茶のグラスを二つ持ってきた。
氷がいらないぐらい、部屋の中は涼しかった。
外の暑さが嘘のようだ。
クーラーの音が低く響く。