晴れ、のち晴れ

幕間の家に着いて、すぐ後に葵が息を切らして帰って来た。

「な…なにがあったんだよ…夢香…」

「相変わらず向かえの車に乗って帰って来ないのね、運転手がお父様に怒られてしまうわ」

ふうと息をはいて、夢香が呆れたような顔をした。

「いいんだよ…運動になるし。それよりなんだよ、さっきのメールは…」

そういえば、さっき夢香はメールを打っていた。葵に打っていたのか。

「ああやって、助けてと一言書いて、何度か着信をいれておけば、流石のお兄様も塾を抜けて帰ってくるかと思って」

悪びれもせずに言う夢香に、葵はがっくりと膝を落とした。

そんなことをしていたのか…。

あたしは、少しだけ、葵に同情したくなった。

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