晴れ、のち晴れ
「そんな風に生きてて楽しい?」
「さあ。子供の頃からこんな風だったから、楽しいのか楽しくないのかなんて、考えたことないし、楽しくなくても俺はやらなきゃいけないから」
ふと、夢香があたしを口実にして、葵を家へ帰らせたのだということに気付く。
こんな風に生きている兄を、夢香なりに放っておけなかったのだろう。
あたしは葵の胸倉を掴んだ。
「なんだよ」
「そんな風に諦めてる奴、あたしは嫌いだ」
葵が口元だけに笑みを浮かべた。心の底から笑っていない空虚な笑みだ。
「俺も本当は嫌いなのかもしれない」