晴れ、のち晴れ
自分はそれしか知らないのだから、それで良い。
葵は、ノートにシャーペンを走らせた。問題集を頭から解いているのである。もうこの問題集を解くのも三度目だ。答えを覚えてしまいそうである。
時計は午前二時を回っていた。後、一時間ほど時間を取れるだろう。
寝るのは好きではなかった。焦りで時々目を覚ますからだ。眠れないぐらいなら、眠らないでいたかったが、それでは明日に差し支える。
そのぎりぎりのラインが午前三時だった。
無数の数字、記号、単語がノートを埋めていく。
なのに、葵の心にはぽっかりと大きな穴が空いていた。