晴れ、のち晴れ

おかしいと思い始めたのは、高校に入ってすぐだった。

ふと、視界が暗くなるような気がしたのだ。

しばらくは気のせいだと思っていたが、ある日、酔ったような感覚と視界の歪みを感じたら、真っ暗になった。

倒れたのだと気付いたのは、目を覚ました後だった。従姉の美都瑠が心配そうに葵を見ている。

知らない天井に戸惑う葵に、過労で倒れたのだと教えてくれた。

すぐに夢香と芳一がやってきて、葵の顔を見てほっと胸を撫で下ろしていた。

入院は一日だけだったし、両親は来れないと思っていたので、実際に来なくても気にならなかったし、電話をいれてくれた時も手を煩わせて悪かったとしか思わなかった。

ただ、葵の一日のスケジュールを聞いた医者がひどく怒っていたことは覚えている。

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