晴れ、のち晴れ

放課後、松山だったか、松本だったか、そんな名字の女が子分を引き連れて、ちょっと来なさいよと言った。

今時ドラマでも言わなさそうな台詞に、あたしは苦笑する。

それがまた彼女たちの気に触ったのか、手荒くあたしの腕を掴み校舎裏へと連れていかれた。

女が執着する笹木野は、先生に呼ばれていない。

教室に生徒はまばらだったし、その中に助けてくれそうな奴はいなかった。

割とピンチかもしれない。

暴れて逃げたかったが、両腕はしっかりと掴まれていた。

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