晴れ、のち晴れ
「見た奴がいて、やり過ぎじゃないかって。今、噂になってる」
なるほど。それであたしに、同情の眼差しが寄せられているわけか。
あたしは、皆の態度が変わった理由を知って納得する。
「それで?」
「七篠が、もうそういう目に合わないようにしようって。安心しろよ」
あたしは、ふっと笑った。
こういう時、自分の性格の悪さを自覚する。
「別にいい、そんなことしてくれなくても。皆があたしに同情してくれるから、あたしを助けてくれるんだろ。皆がいなきゃ何も出来ない奴らなんか、興味ない」
「…七篠」
「笹木野、あたし安っぽい同情なんていらないから」
「違う…っそんなんじゃっ」
笹木野が強く否定をする。
集団が異質な物を排除しようとすることを、あたしは散々知っていた。
特に両親がいないことや創に関することで、あたしは常に排除される側だった。
クラスの中には、あたしが松沢たちからどんな目にあっていたか知っていて、何もしなかった奴はたくさんいる。
笹木野は、詳しく知らなかったようだけど。