晴れ、のち晴れ
…このクラスに葵や夢香がいたらどうなのだろうか。
夢香はきっと、すぐに気付いて、馬鹿なことをしている人の近くにいると馬鹿が移るわ、なんていつもの笑顔で松沢に厭味の一つでも言いそうだ。
反対に、葵はまったく気付かないだろう。
あの、どこか透明な膜で世間から隔離されたようなところのある葵は、クラスのことなど目にいれないで、一人マイペースに生活していそうだった。
想像して、あたしは一人で笑う。
事件にでもなって、始めて、クラスで誰かがいじめられていたことを知って驚くのだ。
そこまで無関心な奴がいたら、逆にあたしは興味が沸くかもしれない。
驚いた葵の顔を想像するのは楽しかった。
ここにいればいいのに、と思う。
担任のやる気のなさそうな朝の挨拶を聞きながら、あたしは目を閉じた。