晴れ、のち晴れ



平和だった。

ここ何日かの気味の悪いぐらいの平和さに、あたしは嵐がどこかに迫っているのではないかと疑った。

しかし、これといって今のところ無くなっているものもないし、松沢たちもあたしに興味を無くしたのか、絡んでこなくなった。

その分、顔の知らないクラスメイトから教室移動やトイレの共に誘われたが、あたしは丁重にお断りした。

今まで一人だったのだから、一人でも行ける。

それでも、話しかけてくる子は多く、そして存外に松沢たちの一派が嫌われていることを知った。

あたしは、そんな松沢に屈しないところが格好いいけど、今まで近寄りがたかったらしい。

そんなもんかね、と女子の噂話に黙って耳を傾ける。

その中に、松沢があたしを嫌っている理由があった。

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