晴れ、のち晴れ
もともと、松沢たちのグループは我が儘で自己中心的だったらしい。松沢の気にいらない誰かを皆で嫌がらせの標的にして楽しんでいたようだ。
リーダー格の松沢が笹木野を好きだというのは、女子の間では有名な話で、グループの皆でその恋を応援していたそうだ。
実際二年までは、松沢と笹木野は仲が良く、周りも付き合っていると思っていたらしい。
だけど、三年になって笹木野がクラスで浮いてるあたしに興味を持ち始めたところから、事態は変わる。
そういえば、あたしは笹木野との仲を冷やかされたりすることはなかった。
いじめられている奴を助けようとした誰かと噂して、助けてくれた相手にこんな奴助けるんじゃなかった、と更に追い詰めるのはいじめの常套手段なのに。
諦めている奴に裏切られるより、一瞬でも信じた奴に裏切られる方が辛い。
だけど、笹木野はあたしに話し掛けてきた後、あたしが何かされることはあっても、笹木野に害が及ぶことはなかった。
心は腐っても乙女ということなのだろうか。