晴れ、のち晴れ

放課後、忘れ物を思いだして一度教室へ戻ろうとしたあたしに、誰かがぶつかる。

誰かの頭の上は真っ白で、あたしは思わず呼び止めた。

頭の上だけじゃない。肩も鞄も真っ白だ。

涙目が一瞬あたしを見て、すぐに逸らされる。

その顔は、今日あたしを何か言いたげに見つめた顔と同じものだった。

女子生徒は慌てて走り去っていく。

「チョークの粉…?」

不自然な汚れの正体にあたしは気付く。

教室からは松沢たちの一行が笑いながら出て来る。

「ははは、良い気味」

「ほんと受けるし」

「自業自得って感じじゃね」

随分と楽しそうだ。あたしは立ち止まって一行を迎え待つ。

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