晴れ、のち晴れ
「あれ…」
あたしに気付いた一人が松沢に耳打ちする。楽しげだった一行が、途端に不愉快さをあらわにした。
「何よ」
「別に。忘れ物を取りに来ただけ」
「そ」
興味なさそうな声で松沢はそう言うと、あたしの横を通り過ぎて行った。
あたしへの態度が明らかに変わった。新しい標的を見つけたからだろうか。
あたしは松沢たちの背を睨み付ける。
多分、これは怒りだ。
あたしに直接何かされるのは別にいい。
慣れているし、あたしが傷ついても創が笑うだけで、心を痛める親はいないのだから。
だけど、目の前で起こっていることを享受する気はさらさらなかった。