晴れ、のち晴れ
「自分たちでも、止められなくなってるんだろうなあ」
だから、誰かが松沢たちを止めなければ、この連鎖は終わりはしない。
きっと松沢たちは分かっていないのだろう。人に傷付けられる痛みが。
だから、あんな幼稚なことが出来る。
そして、誰かを見下す快楽が癖になってやめられなくなってしまったのだ。
…本質が子供だから。
「何が止められないって、梨羽?」
予想外の返事にあたしは振り返る。そこには派手な柄シャツと黒いスーツを着た創がいた。
「いや、ちょっと。一対複数で分が悪い中、勝つ方法を考えてて」
「ふうん、そんなの一を、相手より多くすりゃいいんだろ」
「それが出来れば苦労はしな…」
待てよ、出来るかもしれない。
あたしは、ふとある考えが頭に浮かんだ。味方を複数にすることが、今だったら出来るかもしれない。
「創はろくでなしの悪人で甲斐性なしだけど、たまには役に立つんだな」
言いながら、あたしは創をしみじみと見上げた。
創は、あたしの視線に気付き、にやりと人の悪い笑みを浮かべる。
「そんなに褒めるなよ、照れるだろ」
「…褒めてねぇ」
どこをどう聞いたら褒め言葉に聞こえるのだろうか、この男は。
あたしは呆れつつも、創の言った味方を増やすことについて、思いを巡らせた。