晴れ、のち晴れ


朝、担任が今日の連絡事項を話している。しかし、その声は生徒たちの雑談に掻き消されてしまっていた。

あたしは周りを見渡し、考える。

きっと、今しかチャンスはしない。

わざと音を立てるように、あたしは椅子から立ち上がった。

ふっと、あたしの近くから雑談の波が引いていく。

「先生」

先生に呼び掛ける。あたしらしくもなく、少し緊張していた。

視線があたしに集まってくる。

「…どうした、七篠」

普段、担任とあたしはほとんど関わらない。担任は、厄介な生徒としてあたしの行動を見てみぬふりをしていた。

でも、今はクラスの目がある。事なかれ主義の担任には無視できないだろう。

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