晴れ、のち晴れ
「先生。あたし、いじめられてるんですけど」
あたしの言葉に担任が動揺していた。
こんな堂々としたいじめられっこってどうなんだ、とこっそりと思う。
だけど、少し前にあたしのされたことが噂になり、クラスの大多数が知ることになった、今だからこうして言うことが出来るのだ。
これは賭けだ。
いじめを知っていて黙っていた奴だけではなく、噂になるまで知らなかった第三者の誰かが、あたしの味方になってくれるがどうかの。
「何を突然…あ、あとで職員室に来なさい、そこで事情を聞くから…」
教室がざわめいている。
誰も味方になってくれなければ、あたしの訴えはなかったことにされてしまうだろう。
あたしの視界に俯いている女子生徒の姿が映った。
片方の上履きがない。そんなことにも、担任は気付いていないのだ。
あたしは、担任に向きなおる。
「でも、あたし困っているんです」
「先生」
割って入ってきたのは、名前も知らない男子の誰かだった。