晴れ、のち晴れ

「俺、いじめがあるって話聞きました。逃げないで、ちゃんと七篠さんの話を聞いて下さい」

意外な援護に、あたしは嬉しさで体から力が抜けそうになった。

「俺も聞きました」

隣の笹木野が続く。相変わらず笹木野は良い奴だ。

「なあなあにしないで、きちんと話し合うべき問題なんじゃないでしょうか」

同意らしき言葉が教室の端々から零れ出し、収拾がつかなくなりそうな大きさで担任を責めた。

「とにかく」

焦った担任は、ばんと音を立てて出席簿で教台を叩いた。

「が、学年主任の先生と、話し合ってからっ、詳しい話を聞きます」

それだけ言い残すと、担任は教室から慌てて出て行った。


あたしはふーっと息をはいて、席についた。

これで上手くいくのだろうか。

疲れがどっとあたしの肩にのしかかった。

< 92 / 119 >

この作品をシェア

pagetop