晴れ、のち晴れ
「俺、いじめがあるって話聞きました。逃げないで、ちゃんと七篠さんの話を聞いて下さい」
意外な援護に、あたしは嬉しさで体から力が抜けそうになった。
「俺も聞きました」
隣の笹木野が続く。相変わらず笹木野は良い奴だ。
「なあなあにしないで、きちんと話し合うべき問題なんじゃないでしょうか」
同意らしき言葉が教室の端々から零れ出し、収拾がつかなくなりそうな大きさで担任を責めた。
「とにかく」
焦った担任は、ばんと音を立てて出席簿で教台を叩いた。
「が、学年主任の先生と、話し合ってからっ、詳しい話を聞きます」
それだけ言い残すと、担任は教室から慌てて出て行った。
あたしはふーっと息をはいて、席についた。
これで上手くいくのだろうか。
疲れがどっとあたしの肩にのしかかった。