晴れ、のち晴れ
「どうしたんだよ、笹木野」
「いや、七篠がどっか行くのが見えたから、ついてきただけ」
あたしは、相変わらず面倒見の良い奴、と聞こえないように呟いた。
「別に見張ってなくても、抜け出したりしないけど」
「そういうわけじゃないって」
しししと笑うあたしに、笹木野は不満げな顔をして、隣に座った。
「…凄いよな、七篠って。勇気があるっていうか」
「褒めても何にもでないっての」
笹木野の言葉は、あたしには少々照れくさい。
「本当のことだろ」
「いやいや、笹木野たちが助けてくれたお陰で、先生たちが動いたわけだし」
あたし一人の力ではない。そう続けたあたしに、笹木野は首を振る。
「それでも、七篠は凄い」
真剣な顔の笹木野をあたしはまじまじと眺めた。なんだかくすぐったい気持ちになる。
「なんか可愛いよな、笹木野って」
よしよしと頭を撫でてやりたくなるタイプだ。笹木野がかっと顔を赤らめて怒ったように、あたしの肩を押す。
「そうじゃなくて…っ」