彼女が男装する理由
彼からのお誘い
「 …かの…じょ…? 」
なんで、玲愛の口からそんな言葉が
出てくるのか…
じゃあ…玲愛は私のことが”好き”ってこと?…
…ドキンッ…
えっ…いや、何で私ドキドキしてるの。
…落ち着いて…落ち着いて…
要するに、玲愛は私のことが好…
「 あぁ、勘違いしないで。好きとか、
そう言う感情ないから。ただの暇潰し
相手だから。そこんとこ、把握しといて。」
……………。
なんなの、こいつ。
そんなのだったら、彼女になれとか
言わないでしょっ!
「 勘違いされるような発言しないでよ。」
ムカムカする。
今更だけど、玲愛の考えてることが
全く、分からない。
「 まぁ。とりあえず、彼女になるの?
ならないの?どっち? 」
また、わざと言う。
そんなの聞かれたって私には
選べられる立場じゃないってこと、
知ってるくせに。
「 …わかった。」
「 ん?何が分かったの?
主語が足りないよ? 」
意地悪…。何が分かったくらい分かるくせに…
「 …っ…玲愛の…彼女になります。」
なんで、こんなこと言わなくちゃいけ…
ポンポン。
?!
「 よくできました。」
…え…?今…
私の頭の上に玲愛の手の平が優しく…
突然の事にビックリして、
体が固まってしまった。
( あんな奴でもこんなに優しく、
することあるんだ… )
異性に初めてされたせいか、
顔が熱く感じる。
それとも…
玲愛にされたから…?
ボーッとしていると、
「 早く行くぞ。犬。」
?
今、”犬"って…
その呼び名で、今
「 あいつがあんなに優しく 」
なんて考えてた自分に後悔する。
「 そんな、犬扱いしないでよ!
これでも、人なんだから!! 」
「 はいはい。分かったよ。犬。」
今、言ったよね?
なんで犬なんて呼ばれなくちゃいけないの。
「 だから!もうっ 」
…………………。
玲愛の言葉が途切れた。
私より少し前に歩いていた玲愛が
私の方に振り返った。
「 …? 」
「 今週の日曜デートしよ。」