生贄投票

夕方になって母親の早百合が帰宅してきたけど、環奈はずっと部屋にこもったままでタップし続けていた。


ドアがノックされて、返事もしていないのに母が顔を覗かせる。


「ねぇ、何で今日は早く帰ってるの……？　って、どうしたのカンナ？　あなた泣いてるの？」


「ぇっ、ぇっ、ぇっ、お母さん」


環奈も気づかないうちに、いつの間にか涙が零れていたのだが、母の顔を見たとたん、抑えていた感情が爆発した。


「どうしたのよ？」


心配そうな顔で部屋の中に入って来る母。


環奈はその顔を見て、ホッとすると共にそのまま号泣した。