生贄投票
アタシたちは学校に、室岡先生の処分の撤回を求めたけど、学校はろくに調べなおすことさえせず、私たちを無視した。


男気のある室岡先生が言い訳をせずに、上級生たちの罪をかぶったこともある。

でも、残された私たちは、誰一人納得出来なかった。


そして学校は、すぐに代わりの担任を用意したのである。


アタシたちはそんな学校に対して宣戦布告をしたのだ。


アタシたちの担任は、室岡先生だけなのだ。私たちはすぐに、新しい担任の伊藤武弘を追い出すことに徹した。


女生徒がセクハラ教師だと騒ぎ立てたり、パソコンに詳しい玉森修太が、画像を加工して伊藤の恥ずかしい写真を作って、ネットに流したりした。


ただみんな表面上は、真面目に授業を受けて優等生を演じ、陰で担任外しを実行し続け、伊藤を学校から追い出したのである。


二階堂ありさは、その伊藤の後に担任を任された、まだ今春教師になったばかりの新米だった。
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