生贄投票
それでも一か月間、二階堂ありさは悩んでいるような素振りなど微塵もみせず、いつも笑顔でフレンドリーに接し続けてきた。


そんな二階堂ありさが突然自殺したのである。


これには正直驚いた。


だって、いなくなればいいとは思ったけど、死んでほしいなんて誰も思っていなかったのだから……。

でも、二階堂ありさは、担任というポジションから、逃げることなく、自殺というかたちで、自分自身の人生から逃げ出してしまったのだ。


止めを刺したのは……。


おそらくアタシ、田野涼花と、高橋明里の二人。


たぶんだけど……。


涼花はそう思っていた。
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