生贄投票
「おはよう」


母が起き出してきて、朝食の支度を始める。


環奈は入れ違いに自分の部屋に戻って、制服に着替えることにした。


早百合が料理を始めてすぐに、仁志がリビングに入って来る。


「孝史、しばらく代わるから、オマエはそれまで休んでろ」


「え?」


「お母さんが今日、二時間ほど遅らせて出勤することにしたから、ちょっとの間眠りなさい」


キッチンで料理を作りながら、早百合が声をかけた。


「お母さん。有り難う」


孝史は嬉しくて、思わず胸が熱くなる。


「よし、貸せ」


仁志は手を差し出すと、孝史からスマートホンを受け取った。
< 204 / 827 >

この作品をシェア

pagetop