生贄投票
「何なんだよ全く。オイ、席に着け」


藤本は当然のように、確実にあったであろう問題を、そのまま流した。

最初の担任だった室岡悟が、体罰問題で処罰をされて以来、このクラスの生徒たちは、学校に対して反抗しているのだ。

最初の代任の伊藤武弘は、学校を去り、次の二階堂ありさに到っては、自殺してしまった。


決して情熱を持ち、望んで教職を選んだわけではなく、

不況の御時世に、安定を望んだ結果の公務員だから、お日様西西の日々を送りたい。


こんな面倒くさいクラスを学校に押し付けられたと思っている藤本だから、決してクラスの問題に立ち入りたくないのだ。


二階堂ありさが自殺して二週間。

今のところは何も起こっていないが、これから何かしらの嫌がらせが始まるかもしれない。


そうならないようにする為に、自分は形だけの担任で、すべてのことに一切ノータッチであるという態度を貫かなければと思っているのだ。
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